幽閉

睡眠導入剤が効きすぎたのか、力が入らない。
薬効が超短期型のものを使っているので、もうとっくに効果は抜けているはずなのに、どうにも頭が動
かない。
力が入らずキーボードすら打てないので、この文章も音声入力で書いている。
どうしようもないので今日は休むことにした。近くに通院日があるから、その時に医師と相談しようと思う。


体に力が入らなくてだんだん自分が植物に近づいていくような感覚がある。何かを考えたり感じることが出来なくなっていく。もう本当におしまいかもしれない。

こんな文章をネットの海に流してしまって申し訳ないと思うが、私には言葉しかのこせるものがない。のこすなら感謝の言葉をのこしたかったが、ただ気の赴くままに思考の形跡を記録することしかできない。

文章を書いている時の自分だけが本物でそれ以外は偽物のような気がする。
私の認識のすべては言葉に基づいているから、生きることと言葉を使うことがすごく結びついている。他の人もそうかもしれないが、とりわけ私はそうだと思う。何かの入力を記憶につなげる時に一度言葉に置き換えないと処理できない。
そのようにして知覚し、思考しているので本当の自分、唯一の人格は言葉の中にしか現れないと思う。それ以外は薬で操作された人格か、あなたが抱いた幻想だ。


「栗の花が咲いたらしい」
ただこの一言でカルキのような香りや、妖しく咲く白い花の群を思い出すことができる。

たぶん私は言葉からリアルな感覚を捉えることが得意で、思いがけず言葉に感動することがある。

だけど今は言葉の処理系とでも呼ぶべき部分をさらに覆っているもの、制御系とでも呼ぶべきところがだんだん犯されていって、駄目になっていくような感じがする。こうしているうちにも人格が死んでいく。

言葉の中に私は幽閉されている。何からもアクセスされない。いつまでも目が覚めないような感覚。
夢の中でどこにでも行けるが、どこへ行くこともできないような。