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計量レトリック入門——比喩の認知/計算モデル

 

計算論的アプローチでにレトリックを研究している内海彰先生の論文についてまとめていくよ。レジュメ感覚で読んでね。*1

 

 

 

研究内容

修辞的言語(figurative language),特にメタファーとアイロニーの理解・観賞・生成に関する認知過程の解明を行っている.隠喩(メタファー)に関しては,「AはBだ」の名詞メタファーを対象として,多様な解釈を持つ(解釈多様性の高い)隠喩ほどカテゴリー化過程で理解されやすく,逆に解釈多様性の低い隠喩は(カテゴリー化で理解困難となるので)比較過程で理解されるという解釈多様性理論(interpretive diversity theory)を提案し,心理実験的手法および計算論的手法からその優位性を検証している

Akira Utsumi's Web Page in Japanese

 

比喩の認知/計算モデル

内海彰(2013)比喩理解への計算論的アプローチ:言語認知研究における計算モデルの役割,Cognitive Studies,20(2),249-266

 

要旨
  • あるものごとを別のものごとで喩える言語表現である比喩の理解を対象とした計算論的アプローチによる研究の現状を概観する.また,その概観を通じて,言語認知研究一般における計算モデルの現状や役割について解説する.

  • 比喩理解の研究では計算論的アプローチが重要な貢献をしているとはいい難い.計算論的アプローチによる比喩研究が少ない理由は,比喩理解の複雑さにあると考えられる.問題の定式化自体が難しい(比喩を理解したという状態の定式化が難しく,目的に応じて変化する)うえに,比喩の理解過程には様々な要因(概念表象,概念間の類似性の認知,様々な要因の理解過程への影響)が複雑に関与している.しかし,このような複雑さゆえに,計算モデルを道具として比喩の理解機構を解明することが有効であり,近年になって比喩理解に関する計算モデル研究にいくつかの重要な進展が見られている(e.g., Kintsch, 2000;Utsumi, 2011)

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/20/2/20_249/_pdf

 

 研究背景
  • 概念に関する構造化された知識に基づく類似性認知や抽象化をモデル化するために,多くの研究では,記号処理によるアプローチを採用している

 

  •  比喩を含む言語理解に関する心理学的知見を説明するためには,数理的・確率的な要因の考慮が不可欠であることから(Chater & Christiansen,2008),数理的・確率的なアプローチによる比喩理解モデルも多く提案されている.特に類似性認知に基づくモデルにおいては,概念知識に顕現性などの数値情報を付加して,類似度を定量的に算出すことが行われている(e.g.,岩山他, 1991; Terai &Nakagawa, 2012; Utsumi et al., 1998)
比喩理解の研究課題

比喩理解の研究課題は,比喩検出(認識)と比喩解釈に二分できる.

 

 認知科学…比喩解釈に焦点が当てられている

 自然言語処理比喩検出が主な対象課題

 

認知科学の比喩研究において比喩検出が課題とならないのは比喩理解において比喩認識を独立した過程として想定する二段階モデルは認知的に妥当ではなく,言語理解を行った結果として比喩かどうかがわかるという考えが広く浸透しているから.

 

⇒比喩認識、という概念がそもそも規定されていないのでは?(概念メタファーと文彩としての比喩を混同している気がする)

⇒認知システムは「符号化、貯蔵、検索」の三段階で構成されているとすると、比喩の理解過程において「検索」の部分が他の言語表現とは異なる

⇒文彩としての比喩は「検索」(≒照合)において、既存のスキーマ(≒百科事典的知識)を組み替える言語表現として規定できるのでは?

⇒文彩としての比喩は普通の言語表現とは区別される

必ずしも人間の認知過程との整合性を目的としない自然言語処理の研究では,検出・解釈という二段階モデルを仮定して,まずは比喩であるかどうかの判断を行うことが実用上有用であるために,比喩検出に興味が向けられている

⇒個人的には比喩構築ツールを作りたい(応用であって検出ではない)

認知言語学自然言語処理の学際的な研究!

 
比喩検出の手法

・Fass (1991)のmet*システム

自然言語処理における比喩検出・理解に関する初期の代表的な計算モデルである.
このシステムでは,人手で作成した知識を用いて,与えられた文を文字通りの表現,換喩,比喩,無意味表現のいずれかに分類する.
分類の基盤となる知識表現は,意味フレームに基づいて記述された名詞や動詞の意味表現である.

 

・Martin(1992)のMIDASシステム

CMTを基盤とした代表的な計算モデル。

MIDASには,比喩理解のための明示的な知識として,概念メタファーがあらかじめ人手で用意されている. 

⇒網羅性を証明できないでしょ!

 

・Utsumi et al. (1998)のPROMINEシステム

特徴・顕現性リストによる類似性認知に基づく名詞比喩の理解の計算モデル

このシステムでは,Smith, Osherson, Rips, and Keane(1988)のプロトタイプ表現に基づいて,属性名と属性値(+確率)集合のペアから成る属性のリストとして各概念を表現する.例えば,「りんご」の概念表現は,

[色:{赤:0.8,緑:0.2},味:{甘い:0.6,甘酸っぱい:0.3,酸っぱい:0.1}, ...]というような属性リストとなる.

 

気になること、注意点
  • 概念メタファーと文彩としてのメタファーは区別されるべきでは?

  • 理解過程を記述することと、実装することは別

    ⇒Marrによる。私の研究内容は実装に絞った方がいいのかも(´・ω・`)

  • 比喩検出の計算手法については要検討

 

 

*1:

⇒…私の注釈、ツッコミです

引用部の下線…すべて私のものです