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魔法使いに向いてる

円熟と技術と才能に溢れたブログです。

「から紅の恋歌」の予習しようぜ!椎名林檎の歌詞で歌枕について解説するよ!

www.conan-movie.jpちはやふる』の影響もあるんでしょうか。公式でも出版社の枠を超えてコラボしているようです。

名探偵コナン・青山剛昌×ちはやふる・末次由紀、出版社の枠越え豪華コラボ!

 

あとこれは単なる予想なんですが、たぶん今回の『名探偵コナン から紅の恋歌』って和歌のレトリックやギミックが内容に盛り込まれると思うんですよね。

そしてこういう小ネタをを知っていた方が、数倍映画を楽しめると思うんです。

で、使われそうな和歌の技法として①歌枕②折句あたりがあるかな、と思います。なのでまずは①について、わかりやすく解説していきたいと思います。

歌枕とは?

歌枕とは「和歌や短歌によく詠まれる地名」のことです。その風景を詠み込んだものというよりかは、その言葉の持つイメージを利用しているものが多いです。

 

あふさかの せきにながるる いはしみづ いはでこころに おもひこそすれ

(『古今和歌集』巻第十一・恋一)

「好きな人に逢えない苦しさを言いふらすような真似はしないが、その思いは涙となって出てきてしまう」といった趣意ですね。清流と涙のイメージが清らかに連鎖していて、とても美しい一首だと思います。

この和歌の歌枕は「あふさかのせき」「いはしみづ」ですね。

「あふさかのせき」というのは「逢う」(=逢瀬をする)と「関」(=関所、転じて障害物のようなもの)の掛詞でもあります。

「いはしみづ」は当時この逢坂の関にあったという岩の上を流れていた清水のことらしいです。

 

現代短歌における歌枕の不在

そんな歌枕は近代短歌でも存在しているようです。

佐々木幸綱さんは『短歌』(1995,5)で歌枕のことを「近代短歌の読者が幻想を共有できる地名」としています。

確かに春日井健、土屋文明などが歌枕で作歌していますね。

しかしながら現代短歌の時代には地名を詠み込んだ歌ってなかなかないんですよね。

佐々木幸綱さんの定義からすれば、短歌の読者が共同幻想を抱ける地名がもはや存在しない、ということなんでしょうか。

現代短歌では代わりに次のような「店の名前」を詠み込んだ歌が多く見られるような気がします。

明治屋に初めて二人で行きし日の苺のジャムの一瓶終わる 俵万智

明治屋ってちょっといい感じの食料品店のことですね。

付き合いたての、何を一緒にしても嬉しく感じてしまう初々しさを「明治屋」「苺ジャム」でかわいく表現していますね。

明治屋で買った苺ジャムを使い果たすまでの時間の間に、二人の関係は変化したのでしょうか。

そこまでは読み取ることはできませんが、この歌から、二人で初めて明治屋に行った、まぶしい思い出をじんわり感じている「私」が読み取れますね。

現代版歌枕としての『丸の内サディスティック』『群青日和

現代短歌では歌枕はあんまり詠まれなくなったような気がする(要出典)んですが、

それに代わって、JPOPの歌詞に地名がよく出てくるようになったと思います。

その代表例として、私は『丸の内サディスティック』を押していきたい。


椎名林檎 - 丸の内サディスティック

『丸の内サディスティック』の歌詞に丸の内は出てこないんですが、銀座や御茶ノ水あたりをうろうろしていて、報酬は入社後平行線で、19万も持ってなくて…

って、「あれ私!?」ってなりませんか?

東京で働いたことなくても、なんだかその人の生活のイメージが掴めてしまう。これってすごいことですよね。

先ほどの歌枕の定義からすると、歌枕って「共同幻想」を担保する地名とも言えると思うんですが、

椎名林檎の歌詞に出てくる地名、そしてそこに存在する「私」はもはや現実のように思えてしまう。

それほどまでにリアルで、共感を得られる歌詞ではないでしょうか。

 

他の代表例は『群青日和』の「新宿は豪雨」「突き刺す十二月と伊勢丹の息が合わさる衝突地点」でしょうか。


東京事変 - 群青日和

新宿行くたびに「豪雨じゃない…」って思ってしまいます。

 

おわりに

歌枕について、短歌に興味がない人でも面白く読めるように解説してみました。

これをきっかけに短歌ファンが増えれば、と思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

 あ、短歌は読むだけじゃなくて、作ってみると面白いですよ!

なかでも岡井隆さんの『今はじめる人のための短歌入門』はオススメです。

 

またコナン君映画の解説も書いてみようと思います~

ではではごきげんよう

 

 

 

*1

、あんまり地名って詠まれてないんですよね。


 
 

フラワーカンパニーズ「ファンキーヴァイブレーション」


ファンキーヴァイブレーション~コーラス練習用~

 

大阪の街 大阪の風 大阪の人 そのハート&ソウル
梅田 難波 泉大津 寝屋川 十三 南森町
ここに来るだけで幸せさ 本当 本当だぜ

グリコの看板 横目で見ながら 冷コー飲んで インデアン食べて
京阪乗って ひらパーへ行く? それとも花月で 新喜劇?
夜は清水の音泉 浸かって あべのハルカスも 行っとかな
行くとこいっぱい 迷うでホンマ 大阪最高 フラカン最高

インデアンカレーはめちゃウマです。

 

 

*1:現代短歌をどこを起点にするかよくわからないけど、岡井隆塚本邦雄寺山修司などの”前衛短歌”か穂村弘あたりの”ニューウェーブ”かのどちらかでしょう。どちらを起点としても、地名を読んだ歌の出現頻度ってめちゃくちゃ低い。