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魔法使いに向いてる

円熟と技術と才能に溢れたブログです。

アンドロイドが目指す人間らしさについて

こんばんは、学徒です。

3月24日、21世紀懐徳堂主催の「アンドロイドが目指す人間らしさについて」という講演会に行ってきました。

 

場所は京阪中之島線なにわ橋駅のアートエリアB1。

アートエリアB1では大阪大学が「ラボカフェ」と称し、様々な学問領域のテーマついて講演を企画しています。

大阪大学では石黒研究室という、アンドロイドで有名な研究室があります。当日の講師、小川浩平先生も阪大の基礎工学部で知能ロボティクスの研究をされています。

「石黒 アンドロイド」の画像検索結果

小川先生のボスが写真左の石黒先生のようです。石黒研究室といえば、劇作家の平田オリザさんとコラボしたことでも話題になりました。

当時のコラボではアンドロイドに詩を誦ませるという試みを行ったそうです。詩は読者に行間を読ませるものですから、アンドロイドの無機質な合成音で詩を朗読するとなかなか感情に来るものがあるんだとか。

人間と共存できるアンドロイドは実現可能か

講演会は「そもそもなんでロボットを人間の形に似せる必要があるの?」という問いから始まりました。確かに機能性を重視するのであれば、わざわざ人間の形にする必要ありませんよね。実際、ルンバのような”お掃除ロボ”なるものはメイドさんの恰好をしていなくとも、人々に受け入れられています。

今回の講師の小川先生も、もともとはロボットに人間の形、必要なくね?という流派だったそう。

ですがロボットがより一層生活に溶け込む過程で「どのようにロボットを社会的存在として認知させるか」が問題になると予想したそうです。

そして

社会的存在=人間とコミュニケーションがとれる存在

親しみを感じられるようなロボットにするには、人間の形が必要!!

と思い立ったそうです。

アンドロイドが目指す「人間らしさ」とは

以上のような経緯で、小川先生はアンドロイドの研究に取り掛かったそうです。より人間らしさを目指す方向で実装をしていくと、やはり「不気味の谷」にぶつかったそうです。

不気味の谷」というのはアンドロイド研究で有名なお話で、

「ぜんぜん人間に似てないと、まぁそれなりにかわいく感じる。だけど”微妙に人間に似てる”とめっちゃ気持ち悪い感じになる」というものです。

アンサイクロペディアにはこんな例が載っていました。

「不気味の谷」の画像検索結果

ここで来場者から「アンドロイドの制作過程で、どのような工夫によって”不気味の谷”を超えたのか」という質問がありました。

その応えがすごく面白くて、造型を似せるというよりかは、人間らしい反応をさせることが重要だったそうです。

特に呼吸やまばたきといった人間の無意識の動作をアンドロイドに実装することで”不気味の谷”超えを果たしたんだとか。

コミュニケーションに必要なものだけを集めた「テレノイド」

じゃあ逆にコミュニケーションに必要なものだけを搭載したらどうなるんだろう?ということで開発されたのがこちらのアンドロイド。

遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」、高齢者向けサービスとして事業化 - PC Watch

( ^ω^)・・・

なんというかコレジャナイ感。そりゃ話すだけなら髪も四肢もいらないけどさ。なんか違うし怖い。

でも一応こちらのアンドロイドは遠隔操作でお喋りができるらしく、高齢者施設で導入したところ、結構好評だったそうです。会場ではアンドロイドを通して孫とお喋りするおばあちゃんの動画が上映されました。孫の声がすると、ぎゅっとアンドロイドを抱きしめる姿が印象的でした。

使うと相手を好きになる?次世代のコミュニケーションを提案する「ハグビー」

また身体感覚にフォーカスを置いたのがこちらのハグビー。人型ビーズクッションにスマホを入れ、通話ができます。

Let'sぎゅっとコミュニケーション!

公式サイト ぎゅっとコミュニケーション Hugvie(ハグビー)

つり橋効果ってありますよね?

高い所にいるから感じるドキドキを相手へのときめきと勘違いしてしまうアレです。

それと同じ原理で「ハグって親しい人としかしないから、相手の声が聞こえるクッションをハグしてると通話相手のことをめっちゃ好きだと思ってしまう」とのこと。

苦手な上司に電話入れる時とかにいいかもしれませんね。

売上トップクラスのアンドロイド「ミナミちゃん」

今までのは遠隔操作で人が喋っていたのですが、次に紹介するのは独立してお喋りができるミナミちゃん。外見も少し人間に近いですね。期間限定で紳士服販売をしていました。

 

“看板娘”はアンドロイド! 大阪・ミナミの百貨店で接客・販売 - 産経WEST

お客さんはタッチパネルで会話の選択肢を選び、ミナミちゃんと対話します。ミナミちゃんにはオススメの紳士服を案内してもらえるんですよ。対話を進めていくと、最終的には「欲しいな」「買います」の二択だけがタッチパネルに表示されるそうです(笑)

ミナミちゃん、なかなかのやり手…さすが大阪出身なだけはあります。

こちらはアンドロイド製造のコスト面をクリアできれば、実用化はすごく近いんだとか。

絶賛研修中のアンドロイドル・U!

先ほどのミナミちゃんのように、社会に溶け込むには一対一で対話することも必要ですが、例外があります。

その例外、一対多数のコミュニケーションに着目したのがアンドロイドアイドル、Uちゃん。

audroidol-16

一対多数のコミュニケーションとして、アイドルのニコ生を想像してみてください。

色々コメントが流れて、アイドルが気になったものを取り上げますよね。この時、すべてのコメントに反応しなくてもいい訳です。答えられないもの、答えたくないものは無視してもいいんです。

このように反応したくないものを無視しつつ「中の人」がコメントを返すことで、Uちゃんが反応できるコメントを増やしていこう、というプロジェクトが実際にニコニコ動画で行われています。

 

ch.nicovideo.jp

少し前の話ですが、IBMが開発しているワトソンが「ナチスは正しかった」と発言したニュースをご存じでしょうか?

機械学習を行う場合は悪意のあるユーザーのインプットを避けないと、このように不適切は学習をしてしまう可能性があるんですね。

ちなみに、顔のパーツの制作当初に流行っていたアイドルや女優の顔を参考に制作したそうです。

目元や口は石原さとみに似せたそうですよ。「それはなぜですか?」という問いに対しては「好みだから」とのこと…成程こだわりが見える。

 

対話することの難しさ

販売員のミナミちゃんのゆような一対一、アンドロイドルのUちゃんの一対多といったように、対話には発信する相手の数でその形態が変わってきます。

また私たちが普段しているコミュニケーションには、話題の選び方やイントネーションといった言語分野だけではなく、呼吸や瞬きといった非言語分野も含まれています。

どちらの分野でも課題は山積みですが、特に言語分野では「概念の理解なしに返答してしまう」ことが最大の課題なんだそうです。

例えば「お腹空いた」という発話に対して「私も」という返答だけじゃなくて、「さっき食べたじゃん」とか「クソデブかよ」といった返答もあり得りえますよね?

ですがアンドロイドは言葉の概念を理解しているわけではないので、相手の発話の意図だったり、相手との関係性だったりを考慮できない。結果として、「中の人」が選定するか、発話に対してランダムで返答するしかないんです。

ですからミナミちゃんやUちゃんのように「限定された場面(百貨店、ニコ生)で言葉の概念を定義して、反応を実装する」という方法が地道に取られているそうです。

 哲学者だけの命題が科学者やエンジニアにも

ここまで読まれた方はおわかりだとは思いますが、近年まで「心とは何か」「対話とは何か」といった哲学者占有の命題に科学者やエンジニアも携わるようになりました。

私はこの現象をとても面白く思っています。

もちろん世の中の役に立つことだけが学問の全てではありません。ですが今回ご紹介したアンドロイド研究のように、世の中にアウトプットを提供することで課題がより鮮明になり、面白い研究ができるということはあると思います。

また現在ではプログラミング言語コーパスなどのリソースが無償で公開されていることもあり、アマチュアでもクオリティの高いアウトプットができるようになっています。日本でもっともっと面白い研究がされて欲しいし、そういったモノに触れていたいと思う毎日です。

私自身、これから占い師アプリを作りたくてプログラミングとタロット占いを勉強しています(笑)

9月中にはリリースしたいと思っていますので、そちらもぜひ。

こちらもどうぞ

お出かけ関係の記事にはこんなものがあります。次回の飛ぶ企画では鳥取砂丘でパラグライダーを予定。

lyrisist-lily.hatenablog.com

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