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魔法使いに向いてる

円熟と技術と才能に溢れたブログです。

「人間はベストよりベター、ベターよりもお気に入りを選ぶ」が色々間違えると死ぬ

眠れなくなる言語学 社会

 青二才さんの恋愛エントリーを読んでいたらこんな名言に出会った。

 

人間はベストよりベター、ベターよりお気に入りを選ぶ。

「正しい恋愛」に惑わされず、「楽しい」で繋がれる信頼関係を信じた方がいい。 - かくいう私も青二才でね

 

なるほど、と納得すると同時に「そもそもなんで人間って恋愛でベストを求めちゃうのか」案件が気になったので、お得意の言語学で分析してみた。

今回は認知言語学におけるカテゴリー化とステレオタイプの知見を引用したい。

 

カテゴリー化とは何か?

ではいってみよう。

「恋愛において、なぜ理想を追い求めてしまうのか?」を明らかにする前に、少々説明装置の準備をさせてほしい。

あなたは果物のリンゴを見て、その赤くてくぼみのある球体をリンゴだと判断し、

「これはリンゴだ」と言うことができる。

「林檎 フリー素材」の画像検索結果

この時、あなたは頭の中で目の前の物体と

過去の「リンゴとはこのようなものだ」という知識

を照らし合わせて、目前の赤い物を「リンゴだ」と判断している。

 

このように「○○とはこのようなものだ」といった、あるカテゴリーにおける典型例認知言語学では「プロトタイプ」と呼ぶ。

 

要するに何かを判断する時、過去の経験*1とかテレビで言ってることを引き合いにしちゃうよね~という話だ。

 

恋愛におけるプロトタイプとは何か

では、恋愛におけるプロトタイプとは何だろうか?

その前に、もう少しプロトタイプについて掘り下げていこう。

先ほど説明したように、プロトタイプは過去の経験やテレビなどのメディアによって形成される

あなたが「熟女」と聞いて真っ先に思い浮かべるのはどのような女性だろう?

おそらく90歳のおばあちゃんではなく、30~60歳くらいの肉付きのいい女性ではないだろうか。

どちらも熟年の女性である

という条件を満たしているのに、この差は一体何だろう。

(一応言っておくが、私は別におばあちゃん擁護者という訳ではない)

これもプロトタイプに基づいた推論として説明できる。

様々なメディアによって、熟年の女性の中でも、性的対象となる存在だけが「熟女」として商品化される。「これによって「熟女とはこのようなものだ」というプロトタイプが形成され、

あなたはそのような既成のプロトタイプに基づいて「熟女とはどのようなものか」推論を行ったのだ。

このように「性的対象の範囲となる」「許容できる容姿である」などのバイアスがかった典型例はステレオタイプと呼ばれる。これは社会学のメディア研究でよく使われる概念なので、覚えておいて損はないと思う。

関連画像

「人間はベストよりベター、ベターよりもお気に入りを選ぶ」が…

ここまで確認したように、私たちは物事を判断したり推測したりする時、いつも自分のアタマで考えている訳ではない。しかしながら、このこと自体は脳みそに負担をかけないする方策なので、別に悪いことではない。

それにはじめはステレオタイプに基づいた思考をしていても、経験によってそうした思考を修正することができるのが私たち人間だ。

――例えばもしもあなたが「女はみんな馬鹿」「堀北真希しか認めない」という考えを持っていたとしても、知的な女性、清純で誠実な女性と接する機会があれば

「あ、べつに物分かりのいい女の子もたくさんいるわ…堀北真希じゃない女の子もかわいいわ…」と気づいて思考を修正することができるのだ。

 

しかしながら、もしもそういった機会がなかったらどうなるだろうか…

この場合、ご存じのとおり結果は闇であって沼である。

堀北真希しか認めない頑なな野郎の出来上がりだ。

 

そしてこれと似たようなことが色恋沙汰にも起こっているのではないだろうか。

つまり、テレビなり漫画なりに触れているうちに

恋愛=イケメンと美女のキャッキャウフフ 

のようなステレオタイプを形成してしまい、その考えを修正できずにいるのだ。

 

このようにステレオタイプのせいで目の前の素敵な人を認めることができなくなっている、というのが恋愛沼における私の仮説だ。

特に恋愛経験は個人差が激しいため、そもそも経験が少ないと漫画やドラマによってステレオタイプに基づく思考を形成しやすい。

そして恋愛は多くの人にとってレアなイベントであるため、ステレオタイプを修正できずにバイアスがギュンギュンのままになってしまう事例が多い、ということだ。

 

以上、本来的に人間はベストよりベター、ベターよりもお気に入りを選ぶ存在であるが、ステレオタイプを修正しないと死ぬよ、という話でした。

まずは半径1m以内の人を褒めるところから、始めてみてはいかがだろうか。

 

参考文献

今回参考にした資料はこちら。

本エントリーでは触れられなかったカテゴリー理論の変遷(時代は古代ギリシアに遡る…)など、非常に興味深い知見を得られるのでぜひ。

 

認知言語学への招待 (シリーズ認知言語学入門 (第1巻))

認知言語学への招待 (シリーズ認知言語学入門 (第1巻))

 

 

 

こんな記事もあります

 もしよければ、オススメ本も紹介しているので見て行ってほしい。

 

lyrisist-lily.hatenablog.com

 

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以上となります。

それでは、ごきげんよう

 

 

 

*1:百科事典的知識